2023 年のENEOS スーパー耐久シリーズは、3月に行われた第1戦から約2ヶ月の間を経て、第2戦富士SUPER TEC 24 時間レースを迎えた。Porsche Team EBI WAIMARAMA にとって、2022 年はトップを快走しながらも小さなトラブルでレースを失ってしまい、悔しい思いを味わった忘れ得ぬレース。2022 年、そして第1戦での悔しさを晴らすためには、絶対に優勝を勝ち取りたいレースだ。Porsche Team EBI WAIMARAMA はそんな一戦に向け、北園将太/千代勝正/山野直也という第1戦で出場した3人に加え、開幕戦は参戦できなかったKIZUNA、そして絶対の信頼を置けるふたりのゲストドライバーを招聘した。ひとりは、2022 年もドライバーとして加わり、2023年の再ドライブを誓っていたジュリアーノ・アレジ、そしてもうひとりは、千代の大先輩で、日本のモータースポーツを牽引してきた大ベテラン、本山哲だ。3人は4月に行われた公式テストからチームに合流し、Porsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CS に好感触を抱いた。ただ、今回の第2戦は通常とは異なる要素もあった。それは、第1戦鈴鹿からワンメイクタイヤサプライヤーが変更され、ブリヂストン製のスリックタイヤが使用されることになったことだ。走行初日となった5月24 日の専有走行からチームは3回のセッション、さらに5月25 日の夜間走行の時間を使いながらラップを重ねセットアップを続けた。ブリヂストンの感触も良好で、週末に向けた自信を深めていった。
好調のなか迎えた5月26 日( 金) の公式予選。Porsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CS は、まずはAドライバー予選に出走した北園が好走をみせる。トップとのタイム差はあったものの、2番手につけてみせた。さらにBドライバー予選では、千代がコースレコードタイムをブレイクする1分47 秒229 を記録してみせた。ただふたりの合算タイムは、クラスポールポジションまで、なんとわずか0.038秒およばず。僅差の2番手から決勝レースを戦うことになった。Cドライバー予選の山野、Dドライバー予選のKIZUNA、そしてE・Fドライバーのフリー走行では本山とアレジがしっかりと走行を締めくくり、Porsche Team EBI WAIMARAMA は決勝に向けて万端の準備を整え予選日を終えた。
5月27 日( 土) の決勝日を迎えた富士スピードウェイには、EBI Group の多くのゲストが訪れ、Porsche Team EBI WAIMARAMA は非常に賑やかな雰囲気のなか、午後3時からの決勝レースを迎えた。スタートドライバーを務めたのは千代だ。チームは今回もAドライバー規定によるドライブスルーペナルティを決勝レース中にこなす必要があったことから、スタート直後早々に千代をピットに呼び戻すことを決めていた。しかしスタート直後、まさかの事態が。#21 アウディに接触され、ポジションを落としてしまったのだ。なんとか走行は可能だったが、アライメントが狂っており、車速センサーにも異常をきたすなど苦しい状況となってしまったが、千代はなんとかペナルティを消化した後、ファーストスティントをしっかりとこなす。その後も北園、アレジとリレー。一度目のピットでリセットをかけたことでセンサー類もしっかりと再起動できたことから、好調なペースでポジションを奪回していった。ただ昨年と異なり、今回はライバル勢も速い。特に#52 GR Supra が快調なペースをみせPorsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CS の前に立ちはだかる。さらにスタートから5時間も経過しようかというタイミングから大きなクラッシュや火災など、荒れた展開となりセーフティカーランが続いたり、早朝4時ごろには赤旗中断になるなど波乱含みの展開となるも、深夜も山野や本山、アレジ、千代といった強者たちがしっかりとリレー。途中イレギュラーなブレーキ交換等はあったものの、追い上げをみせていった。しかし、フィニッシュまで3時間を切っていたタイミングで、思わぬアクシデントが起きてしまった。山野のドライブ中、前にはラップダウンの#21 アウディが出現。進路を譲ることを指示するブルーフラッグが振られているにもかかわらず、#21 アウディはなかなか道を空けない。山野はオーバーテイクを試みたが、なんと#21 アウディが強引にかぶせてきた。大きな衝撃ではなかったが、Porsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CS は左フロントにダメージを負う。しかも、外観からは分からなかったが、なんとラジエターの冷却水が漏れてしまっていたのだ。チームは早急にラジエター交換を行い、KIZUNA にステアリングを託しコースに復帰させることができたが、遅れは大きく、ポジションを落としてしまっていた。その後もPorsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CS は追い上げていったものの、終わってみればトップからは20 周遅れの7位。このレースでの必勝を期し、全員が全力を尽くしてきたなかでの結果だけに悔しさも残った。しかし、このレースで培ったチームワーク、そしてスピードは今後に活きるはずだ。今季は富士でもう一度レースがある。リベンジの機会は残されている。
今後ともPorsche Team EBI WAIMARAMAへのご声援をよろしくお願いいたします。
チーム名:Porsche Team EBI WAIMARAMA
マシン名:EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CS
ゼッケン:#22
ドライバー:北園将太/千代勝正/山野直也/KIZUNA/本山哲/ジュリアーノ・アレジ