チャンピオン争いを展開し、シリーズランキング3位という順位で終えた2024年シーズン最終戦から約4ヶ月。スーパー耐久シリーズは2025年の開幕となる第1戦を迎えた。Porsche Team EBIは今シーズンもPorsche 718 Cayman GT4 RS Clubsportをシリーズに投入するが、ドライバーラインアップを小変更。Porsche Proである北園将太、そして久保凜太郎に加え、新たに若き平安山良馬を迎え入れることになった。これまでチームを牽引してきた山野直也は後方からチームをサポートしていく。そんな体制で迎えた2025年の開幕戦の舞台は、718 Cayman GT4 RS Clubsport が得意とする栃木県のモビリティリゾートもてぎ。Porsche Team EBIにとっては数々の思い出が残るコースだが、今回は変則的なスケジュールだ。土日ともに予選・決勝が開催されるが、Porsche Team EBI が戦うST-Zクラスはどちらも出場しなければならない。3月20日(木)の特別スポーツ走行はレース1の1本目、レース2の1本目、2本目を走行。さらに3月21日(金)はレース1の専有走行1回目、レース2の専有走行1回目、2回目と合計3セッションを走るタイトスケジュールとなった。そんな多くの走行を1人のドライバーが交代しながら走っていったが、事前に行われた公式テストからEBI GROUP Cayman GT4 RS CSは好感触を得ており、久保は「ほとんどセットアップも変更していません」というほど。特にレースでの強さを意識しながら、2日間6回に渡る走行を締めくくった。
2日間の走行を終え、迎えた3月22日(土)は全国的に春の陽気となり、朝から気温も上昇。上着も不要な晴天のもと、午前8時から公式予選がスタートした。まずはAドライバー予選に出走した北園は、2分00秒222 というベストタイムを記録。惜しくも2分切りはならなかったが、4番手と好位置につける。続くBドライバー予選では、久保が1分59秒196を記録。7番手につけ、合算でEBI GROUP Cayman GT4 RS CS は6番手につけることになった。Cドライバー予選では、平安山が2分01秒776を記録。決勝レースを意識しながらきっちりと予選を終えた。久保は予選後、「タイヤの温め方のミスもあり、もう少し前に行きたかったところもあります」と振り返ったが、それでもレースを見据え自信がある様子をみせていた。
午前の公式予選終了からわずか3時間というインターバルで迎えた午後1時からの決勝レース。気温が20度を超える季節外れの暖かさのなか迎えたスタートで、EBI GROUP Cayman GT4 RS CSのスタートドライバーを務めたのは、今季加入の平安山だ。とはいえ、ST-Zの経験も豊富なドライバーであり、序盤からプロドライバー同士の激しい争いのなかを戦っていく。1周目、平安山は激しい争いのなか6番手につけ前を行く#34アウディを追っていく。2周目にはS字カーブで、#34アウディが4番手につけていた#885 GRスープラを抜くのに合わせ、平安山もうまくこれをパス。5番手に浮上してみせた。スーパー耐久らしく、5周目にはラップダウンが出はじめるが、平安山はこれをうまくかわしつつ、8周目にはふたたび#34アウディに接近。後方からは急速に追い上げてきた#20 ZNISMO との三つ巴のバトルとなっていくが、この戦いのなかスピンがあるも、その後も戦いを続けていった。平安山はライバルたちよりも少々早めの25周を走ったところでピットインし、久保へ交代しタイヤ二輪交換でピットアウトしていった。このピット時間短縮、さらにタイミングも功を奏し、EBI GROUP Cayman GT4 RS CSは3番手へポジションアップ。その後久保は「思うようにペースを上げられなかった」と語ったものの、それでも3位表彰台は十分に狙えるペース。久保は53周までしっかりとスティントをこなしピットインすると、北園が乗り込んだ。チームもドライバーたちの頑張りに応え、着実に作業をこなしたが、その直後まさかの事態が起きた。給油口のリングにわずかな引っかかりがあり、そこから燃料が噴出してしまったのだ。大量にあふれ出した燃料に引火し、EBI GROUP Cayman GT4 RS CSはピットレーン上で大きな炎に包まれてしまった。このアクシデントで、車両は熱によりフロント周辺を中心にダメージを負ってしまった。2023年もチームはもてぎで火災に見舞われているほか、同じ718 Cayman GT4 の出火は3回目となった。原因は世界屈指のブレーキの厳しさを要求されるもてぎのレイアウトにより、ブレーキの熱が燃料タンク内の圧力を高めてしまう車種特有のものと推測された。チームはスーパー耐久未来機構(STMO)とも協議。今後に向けて対策を施すことになった。この火災により、EBI GROUP Cayman GT4 RS CS はサーキットでは直せないダメージを負ってしまったことから、レース2は戦うことができなかった。まさかの結末を迎えることになったが、チームはダメージを負った車両の復旧と、次戦鈴鹿でのリベンジを目指すべく前を向いた。
今後ともPorsche Team EBI へのご声援をよろしくお願いいたします。
チーム名:Porsche Team EBI
マシン名:EBI GROUP Cayman GT4 RS CS
ゼッケン:#22
ドライバー:北園 将太/久保 凛太郎/平安山 良馬